沖でエンジン停止…まさかの事態は船乗りなら誰しも避けたいトラブル。


エンジン停止だけは絶対にやだ!って何回も書いてましたが、ついにバチが当たってしまった。





譲って頂いた船に乗り換えての一発目のファーストランにて、沖で釣りをするためにエンジン停止して場所移動しようとキーを回したら



弱弱しく「キュルっキュルっ、カチカチッ、ッッッッッ…」

えっ!?はっ!?何言ってるかわからないw

マジで意味わかんないwwwwww


「アンビリカブルケーブル勝手に断線されていました」

「内部電源に切り替わりません」

「エヴァ初号機活動を停止しました…」

「わぁぁぁぁっぁぁっぁっぁぁっぁぁぁっぁっぁぁ」悲鳴



その瞬間、脳内からミサトさんの声が永遠リピート再生


「活動を停止しました…」
「活動を停止しました…」
「活動を停止しました…」


せめて、活動限界まで30秒、29秒…ってカウントダウン欲しかった。


出港時は一週間ぶりにエンジン掛けたんだけど、快調に一発で灯がともったのだが!


いきなりクッソツンデレエンジンやんけー!!!!!!








ふと我に返り、本気でヤバいと思ってキーを戻してバッテリーが自然回復するのを数分間待つ。


魚探などの機器の電源を落として数分後にまたキーを回してみる。


「キュルっ」とも言わず、セルの音が「カチカチ」っとなるだけ。


もう一回だけ自然回復するのを待つことに。今度はバッテリーのスイッチから電源を完全に遮断。


数分後にキーを回してみるもセルのカチカチ音が玄界灘に虚しく響くだけ。。。。。完全にオワタ





船長6mないし100馬力前後の船外機で動くプレジャーボートで故障中の取るべき行動を紹介


動力を完全に失ったので「運転不自由船」となり、この船は故障してます。動けませんアピールするために黒球(形象物)を見えやすい高い位置にぶら下げてみた。黒球を2つ垂らすように表示する。


ただし、12m未満の船舶には表示義務はないのですが、航路などTPOを考えないといけない時は黒球を揚げてないと、状況を知らない他船からしたら空気読めない船扱いにされちゃいます。


夜の故障時は白色全周灯、昼は黒球。


右舷と左舷の舷灯を灯してしまうと「この船は動ける状態にある」になってしまう。ので白色全周灯だけを灯せる状態にしておく。中古船は舷灯と白色全周灯が別々に灯せないことがあるので購入したら確認が必要です。


私は動けませんアピールが完了したら、錨が効く水深なら投錨し船体の安全を確保します。


今回は運よく島側に寄せられて難を逃れました。


自分で出来る事はひとまずやってみた。簡単にまとめてみると

①バッテリーの状態を把握。
②バッテリーを自然回復から、ギリギリの電力でセルをまわしてみる。
③ダメだったので黒球をかざす。
④投錨し船の座礁を防ぐ


安全を確保したら、次のステップへ


非常時に駆けつけてくれる仲間がいる方は迷わずお世話になりましょう。

持ちつ持たれつなので困ったときはお互い様。

金銭に余裕がある方はマリーナやメカニックさん手配してください。

最近では曳航サービスがありますが、九州エリアはまだまだ手薄状態です。会費もそこそこします。

ボートレスキューサービスBAN


仲間頼りとしてもタイミングがありますので、なるべく自力で解決できるメカ知識を養いたいものです。


今回、予行練習を兼ねての試練です。船に詳しい前のオーナーさんにアドバイスを貰いながら、ネットでも検索して自力で解決しました。


バッテリー残量ゼロからエンジンを始動させる方法

魚探に表示していた航行中のバッテリー電圧11.5V

エンジン止めたら。はい、いきなり終了。その時の電力11.2V

ネットで調べた感じではバッテリー電圧が70%か75%に落ちたらセルが回らない


ちなみにバッテリーが正常で安定時は12.7V

電圧が12Vを下回りそうな時は速攻でバッテリー交換したほうがよい。12Vを目安

気温がちょっと寒くなってなるとバッテリー内液の比重が落ちてある日突然電力不足に陥る。


バッテリー残量ゼロではないが、セルを回す電力が足りないので


バッテリーが使えなくても、ある方法でエンジンを始動できます。


電力不足で止まったエンジンは2ストですが、現行の4ストでも同じ構造ですのでお試しください。




電力ゼロでエンジンスタートさせる方法はリコイルスターターで手動スタート

バス釣りの時はアルミボートはスターターロープを引っ張って始動させていたものです。

海の船はスターターロープが付いていないエンジンがほとんどです。

電気を必要としないスターターロープでエンジンを始動する方法を試してみる。

新品でエンジンを買うと付属でリコイルスターターのロープが付いてくるのですが、私のは中古艇なのでリコイルスターターが備え付けてありません。

代わりに船内にある8mmのロープを3mくらいのを流用しました。


フライホイールを回す手順


まずは、エンジンのヘッドカバーを外します。
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一番上の円盤型のカバーを外します。


【デカいショックドライバーが吉】潮で噛んでる可能性が高いので55-6があったらも最高です。案外ここで時間かかる。


フライホールが無事に出て来たらほぼ勝ちです。
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8㎜ロープに結びコブを作って、円盤のかぎ状の窪みに上から引っ掛けます。そのまま円盤に反時計回りに3周から4週巻き付けます。


ゆっくり半周ロープを引っ張ってみると、引っ掛かる場所があります。ココが一番重要!!


引っ掛かりの場所から一気にロープを引っ張ります。


素手で何回もやっていたら、手が豆だらけになりますので、滑らないフィッシンググローブか、滑り止めが付いた軍手着用をおススメします。普通の軍手では非常に厳しかった。


勢いで引っ張り倒すことになりますので、船員2人ともロープで火傷しちゃった。
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エンジンがデカくなるほど回すのも一苦労。


何度も失敗しながら、引っ掛かりの場所から一気に引き抜く。ロープの間合いや長さも重要。


あまりに掛からないので、ロープに点火プラグ抜きレンチに巻き付けてみた。


ら!!!!!!!


ブオーーーーン!!!!


廻った!!!!!!


今回使った工具達
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①8mmロープ。傷が入って何回か切れる場面も。余裕を持って10mほど(伸びないロープが良いです)
②点火プラグ抜きのレンチ
③小さいけどプラスドライバー。海用にゴッツイのに換えます。

※ヤマハの4ストエンジンは12㎜のスパナが必要のようです。各サイズ持っていたら安心です。


この3つがあればセルが回らないでも、何とか自力で帰港することが出来ました。


今回は完全に不意の事態で四苦八苦でした。



余談ですが、形象物をぶら下げていたら海保様がゆっくり近寄ってきました。エンジンも回って形象物仕舞って、錨を引きあげたらスッとどこかへ行ってしまった。


何かあったら形象物揚げてると海保様が応援に来てくれるみたいです。出来るだけお世話にはなりたくはないんですが黒球は常備しておきたいですね。

船の解説がめっちゃ分かりやすくて観ている「ひでまるさん」の動画が一番おすすめですので一度ご確認ください。

2023/11/05 本文訂正・リンク追加