はじめての船底塗装の儀式に携わってきました。


船底掃除は、船底やら汽水する側面に付着したフジツボを落とし船の速度、燃費維持を目的に行います。海水に浸かる赤や青・黒に塗装された喫水部分になります。
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船底塗装は春のシーズンイン目前の頃か、秋のお彼岸頃の塗装作業を行うには丁度いい気候の晴れた日に行います。


5月頃から11月頃まで海水温が高い時期に成長するフジツボを、春に早めに落とすか、成長が鈍化してくる秋に落とすかのふた通り。


お金と時間に余裕がある方は春と秋に2回の船底掃除が好ましい。


フジツボの成長や生態が気になる方は下記のPDFにて。勉強になります。

清水港岸壁上でのタテジマフジツボの成熟、成長、死亡の付着層間の比較  PDF」



いざ立ち会ってみると、船底塗料がエゲツナイことが判明w

陸揚げした船の船底にこびり付くフジツボさんを、ケレン棒と呼ばれる長柄のスクレーパーでガッサリと除去
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コレは借り物ですが次回から違うところで船底掃除になりますので、自前を用意しないとです。


スクレーパーであらかじめガリガリやってから、高圧洗浄ジェットポンプで水圧かけてフジツボの破片を一層します。


高水圧でも飛ばなかったフジツボの頑固な根っこ組織をまたスクレーパーでガリガリと剥がします。
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高圧洗浄したら剥がれた船底塗料の粒子が流れ出してた。
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船底塗料が水質や生物に影響を与えていると言われる所以がコレです

つまり予測無影響 濃度とは,限られたデータを元に算出した便宜的な数 値であり,有機スズ化合物の例を挙げるまでもなく, 実際の環境の影響全てを保証するものではないこと, 過小評価も過大評価もあり得ることを理解しておく必 要がある.
引用元 船底防汚塗料の水生生物への影響*


上の資料を読んでみたら、現在では有機スズ化合物を使った塗料は全面禁止されておりますが、それに代わる亜酸化銅などの代替防汚塗料でもその影響は保証されていないもようです。


ので、船が数多く在籍する港内やスロープ(揚場)近辺での釣れたお魚や甲殻類や貝類は、船底塗料による影響が懸念されます。


浮いてるだけの船でも、波や潮流などの刺激で極僅かに船底塗料は剥がれ続けている可能性がありえます。船底塗料はパンで言うとデニッシュみたいな多重構造を形成して脱皮をするように剥がれてフジツボの根ごと剥ぎ落とす仕組みになっています。


より低い環境負荷の新素材の開発を望みます。


船底塗料の影響が気になる方は下記PDFをご覧ください。堤防や港周辺での釣りがメインの方は必読
船底防汚塗料の水生生物への影響*


フジツボ落としたら船底塗装で被膜形成


フジツボを一掃したら、水分が乾くまでしばらく放置。塗装面を乾かしている間に船底塗料を塗る準備をします。


今回使った道具達

・ローラーとトレイ
・ケレン棒とスクレーパー
・船底塗料(4kg~6kg)
・薄め液(専用のシンナー)
・手袋(薄いビニールと軍手)
・マスキングテープ(30㎜以上の幅広がおススメ)
・汚れてもよい長袖・長ズボンは必須
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マスキングテープで塗料のはみ出し防止を施してから3人で手分けして塗って行きました。
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シンナーで薄めても塗料が直ぐに乾くので人数が多い方がGOOD。22ftだと3人は欲しいです。


22フィートの船で1缶4kgを使い切りました。

厚塗りで頑丈に塗られる方はもう1缶(2kg)があったら余裕がもてます。



☆お得情報特記☆
船底塗料1缶お買い上げすると、エプロンや手袋、ローラーがサービスで付いて来る時期もありますので、キャンペーンの時に予め用意しておくとお得なこともあります。そんな気前が良いショップさんが存在しますので探してみてください。




塗り残しがないように船底に木を挟めて左右に片寄せたら、塗り残しなくキレイに塗れました。フジツボを落とす時も同じ要領です。マリーナ等はホイストで吊るして海に降ろす時に塗っていない場所だけ後から塗るパターンもあります。
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塗り終わったら半渇きのうちに早めにマスキングテープを剥がします。乾いて剥がすとマスキングテープとの境目がボロボロになるそうです。


半日かかって漸く完成!
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またまた塗料が乾くまで暫く待機。縁の裏など、係留している時に出来ないところをシリコンでコーキングしたり、水抜き栓周りのメンテナンス。


塗料が乾いたら伊万里湾へテスト走行することに。


スロットルをちょっと入れただけで加速良好。伊万里湾の端から端までテストドライブ。船底掃除やって良かったと思える瞬間を初体験。4500回転で28ノットを記録。


塗料が乾く間に交渉が成立しまして。なんと!この船を本日、急遽引き渡しが決定。そのまま乗って帰りました。


3500~4000回転、燃料は約10リットルで伊万里湾を端から端まで行けました。前の船では同じ距離を40リットル使っていたので燃費が圧倒的に良くなった!と言うより、それ以前に前の船のエンジンはおかしいって言われましたがw


燃費向上で出船率がグッと上がってくると思いますので、来年は外海の開拓と、伊万里湾の海底探査に勤しみたいと思っております。

2023/11/04 本文訂正